地域ぐるみで「継業」に取り組むソリューション

ニホン継業バンク」は、地域が残したい生業と、担い手を結びつけるマッチングプラットフォームです。会社を売買する承継の手段「M&A」だけではなく、後継者や弟子、副業などの方法で承継する「継業」に地域ぐるみで取り組むことができます。

少子高齢化を背景に、地域の担い手不足が深刻化しています。2025年には経営者の約6割が70歳以上となり、127万社もの中⼩事業者が廃業する「大廃業時代」が到来するともいわれています。

一般的に、後継者不足の解決策として知られる「M&A」では、仲介手数料の高い事業が優先的に取引されるため、地方地域で長く育まれてきた個人で営むような小さな仕事や、お金では価値を付けることが難しい伝統技術などは承継の機会が与えられづらい現状にあります。

しかし、そういった事業の廃業が増えると、観光資源やふるさと納税の返礼品の消失など、地域の魅力減退につながります。

地域のプレイヤーと一緒に運営。

そこで、地域のプレイヤーである自治体や商工会に「ニホン継業バンク」の利用料を負担してもらうことで、利用料はもちろん、仲介手数料も成約報酬は必要ありません。仕事の魅力や価値を記事化して全国に発信し、継いでほしい人と継ぎたい人をつなぎ、都市のコピペではない、個性的で持続的なまちづくりを目指しています。

会社を売買する「M&A」だけではない多様な継ぎ方

継業バンクを運営することで、仲介手数料が発生しない「M&A」以外の承継にも対応することができます。一緒に数年間働いたあとに承継する「後継ぎ求人」や、仕事を体験する「インターンシップ」、技術のみを承継する「弟子」など、多様な継ぎかたを提案しています。

たとえば、岡山県美作市では、1970年創業の渓流釣りや魚の販売も手掛ける「右手養魚センター」の経営者として継業。県外からも多くの利用客が訪れる観光施設を維持できたことで、さらなるまちの活性化が期待できます。

譲り手よし、継ぎ手よし、地域よし。地域おこし協力隊制度を活用した三方よしの継業。有限会社右手養魚センター/ニホン継業バンク

また、石川県七尾市では、「原木しいたけの栽培技術」を弟子として継業。栽培技術だけではなく、譲り手の里山に対する思いや生き方も承継したいと、共同経営者として数年間一緒に働き、農園を承継する予定です。

第二の人生は誰かの役に立つ仕事を。山への思いを受け継ぎ、日本一を目指す「道田農園」の高級しいたけ/ニホン継業バンク

「そのまちにしかない」ヒト・モノ・コトを継業で実現する

2020年のサービス開始以降、のべ25地域で継業支援をおこなってきました。これまで自治体には「事業承継支援」の部署はないことが一般的でしたが、継業バンクの活用には、リソースや特別なノウハウがなくても取り組むことができます。また、担い手は他地域から移住をしてくる場合も多く、自治体だけではなく、「まちづくり団体」や「移住コーディネーター」が運用する事例もあります。

2023年7月以降は、13市町村で継業バンクの活用がはじまる予定。日本全国にたくさんの「残したい仕事」が溢れてくるはずです。

地域住民が誇る商品をつくる生産者や、まちのインフラを支える産業が、知らないうちに廃業してしまうと、復活させることは簡単ではありません。

継業バンクは「継業」という選択肢によって、日本全国に個性的なまちを残していきたいと考えています。