大阪市最大の道路空間・御堂筋の「パークストリート化」を目指す

大阪のメインストリートである御堂筋は、オフィス、ホテル、商業施設が並ぶ大阪有数のビジネス街や繁華街である一方、エリア間競争の中で一部のビルの空室率増加など不動産価値の下落が課題でした。

その解決を目指し、沿道企業が中心となりウォーカブルなまちづくりと「パークストリート」を掲げるエリアマネジメント組織が複数立ち上がっており、「御堂筋まちづくりネットワーク」「御堂筋・長堀21世紀の会」「ミナミまち育てネットワーク」の取り組みを紹介します。

まちづくりエリア図。淀屋橋駅、本町駅、心斎橋駅、難波駅の周辺など御堂筋沿道。

活力と風格あるビジネスエリアを目指す「御堂筋まちづくりネットワーク」の取り組み紹介

大阪のビジネス地区である淀屋橋、本町の御堂筋沿道地権者など約50社で構成されています。当団体は御堂筋の歩行者空間化やにぎわい・プロモーション活動、美化・緑化活動、行政などへの提言活動を推進しています。

「御堂筋まちづくりネットワーク」の取り組み1:沿道建物の壁面後退空間と歩道の一体的な活用の仕掛け「いちょうテラス淀屋橋 」

公共空間にベンチやステージが出現。

御堂筋の側道の一部を歩行者空間化するパークレット「いちょうテラス淀屋橋」がオープン。大阪府産杉材を使用したデッキやテーブル、地域情報を発信するデジタルサイネージなどを備え、周辺ワーカーの憩いの場となっています。

イベント時には沿道建物の壁面後退空間にキッチンカーなどを設置し、パークレットを介して道路と民地が一体となったにぎわいが生まれています。当会が提言した「御堂筋の広場化」の実現に向け、2017年の社会実験を経て、2022年に民設民営で供用開始しました。
2024年春には2基目の「いちょうテラス高麗橋」がオープンしました。

「御堂筋まちづくりネットワーク」の取り組み2:四季折々の自然を都心に育む「道路での高質なグリーンマネジメント」

御堂筋には様々な緑化空間があります。「御堂筋まちづくりネットワーク」では、以下4つについて、日常的な水やりなどの維持管理や季節ごとの植足しを沿道企業が連携して行っています。

①沿道企業から寄付された彫刻を彩る全50基の御堂筋コンテナガーデン
②交差点角の平野町街園・本町街園(全8カ所)
③パークレット内の植栽プランター
④中央分離帯の御堂筋アメニティフラワーポッド

街園では1年を通してどの季節でも楽しめる宿根草を中心とした先駆的なデザインを施し、道路空間の高質なグリーンマネジメントを行っています。

おしゃれな大人の散歩まちを目指す「御堂筋・長堀21世紀の会」の取り組み

長堀、心斎橋、南船場の企業・商店を中心に発足。現在は約140 の組織が所属し「おしゃれな大人の散歩まち~世界に誇るブランドストリートに~」を掲げた人中心の道づくりを続けています。

「御堂筋・長堀21世紀の会」の取り組み1:沿道商業施設が地先を利用する「御堂筋・賑わいを生む空間再編プロジェクト」

御堂筋の新橋交差点以南の区間で、人に優しく歩きやすい空間を目指した緩速車線の歩道化工事が2025年に完成予定です。御堂筋・長堀21世紀の会はこの道路空間の再編を受けて様々な社会実験に取り組んでおり、2022年はキッチンカーなどによる賑わい演出を、2023年は沿道商業からの賑わいの展開に取り組みました。

社会実験をする中で、違法駐輪などへの対応やイベント開催のための資金確保などの課題も見え、持続性の確保についてもトライ&エラーを繰り返しながら理想のまちづくりを目指して活動を継続していきます。

「御堂筋・長堀21世紀の会」の取り組み2:会員企業メンバーが日々のお手入れを実施する「御堂筋・はなプロジェクト」

新橋交差点の北西角の公共花壇を「御堂筋はなプロジェクト」と称し、女性会員メンバーを中心に継続的な維持管理をしています。季節の植え替え、日々の維持管理、イベントの実施など、メンバーが楽しみながら取り組めるよう進めています。2023 年からは「心斎橋グリーンプロジェクト」をスタート。店舗から発生したコンポストを活用する等、地元のメンバーを中心に花苗を育てる花壇の運営にトライしています。

これらのプロジェクトを通じ、御堂筋の魅力的な緑化環境の実現、魅力の向上、参加者から生まれる地域コミュニティの醸成に期待しています。

さらなる大阪の活性化を目指す「ミナミまち育てネットワーク」の取り組み

インバウンドで賑わう大阪ミナミエリアで2008年に発足。地域にゆかりのある約120 の団体・企業が大阪の地域活性化を目指し、「観光集客」と「文化振興」の2 本柱で活動を行っています。

「ミナミまち育てネットワーク」の取り組み1:中心市街地の回遊性を高める「ミナミ・まちなかミュージック活動」

大阪・ミナミでは、御堂筋等の南北方向の通行量が多いものの、東西方向やひと筋内側に入った商店街への回遊性が課題です。そこで、地元商店街と協力してまちなかの道路や空地を活用し、若手音楽家が安心してライブできる場を提供しています。

「ミナミまち育てネットワーク」の取り組み2:繁華街特有の課題解決に参画「行政や商店街と連携した違法駐輪対策」

ミナミでは、集中する放置自転車が歩行者・緊急車両の妨げとなっていますが、商店街単位では解決しづらいことが課題でした。そこで行政や商店街と連携し、商店街の枠を超えて放置自転車の調査・分析、啓発活動、撤去活動の3 つの対策を進めています。

「ミナミまち育てネットワーク」の取り組み3:繁華街の景観を探り、まちづくり施策に展開する「AIを活用した風景分析」

ミナミでは、立ち並ぶ店舗が織りなすサインがまちの特色となっています。そこで当社が独自開発を推進している「エモーショナルスケープ™」を使い、A I分析と地元の人の感覚を重ね合わせ、まちの雰囲気を活かした景観づくりを進めています。