『イーストベイ東京プロジェクト』概要

江東区の臨海部には、約30キロメートルにも及ぶ水辺があります。しかしその水辺や緑道は主に防災の観点で整備されたものであり、親しみやすい場所はけして多くありません。

水辺に背を向けて暮らすなんてもったいない!と、水辺の魅力を向上させるため、東陽・新砂地区の汐浜運河沿いに水辺を活用する『イーストベイ東京プロジェクト』と地元の関係者が立ちあがり、住宅と職場が渾然一体となった東陽町に、みんな健康になれる水辺のまちづくりを開始しました。

Cafe
2020年に汐浜テラスを設置。

『イーストベイ東京プロジェクト』を推し進めるにあたり、東陽・新砂エリアの町内会と周辺企業は『東陽・新砂地区運河ルネサンス協議会』を設立。

『東陽・新砂地区運河ルネサンス協議会』(以下協議会)とは、東陽1丁目町会、2丁目町会、新砂1丁目周辺の企業・団体等の皆様にて構成した、水辺を活用し、地域の活性化を目指す団体です。2020年秋に、東京都港湾局における推進地区及び団体として指定を受けました。

町内会と周辺企業が協働で汐浜運河沿いのにぎわいの創出を目指し、水辺にコンテナカフェを併設したウッドデッキ『汐浜テラス』をオープン。オープンエアの水面を眺めて憩う空間として地域住民の集いの場や働く人のリフレッシュの場として、昼休みや休日は特ににぎわっています。また歩くだけで健康になる『フィットネスロード汐浜運河』プロジェクトなども進行中です。

このように過密都市におけるウェルネスの推進やコミュニケーションの場づくりを進めています。

『水辺の大実験』で新時代の水辺活用を見出す

協議会では、毎年秋ごろ、汐浜運河に設置した簡易接橋を活用して、「水辺の大実験」というイベントを開催しています。

実験の目的は水辺空間の利活用・環境学習・防災をテーマに、江東区の水辺の活用可能性を実験することで、地域やステークホルダーの方々に水辺空間の価値を認識してもらうことです。また、周辺企業や関連団体との協働機会を創出し、東陽・新砂地区運河ルネサンス活動のプレゼンスを高め、地域に広げることを目指します。

2022年は3つの実験をおこないました。

1.防災避難ボートE-BOATで団体対抗防災訓練レース

(第2回汐浜運河カップ)

Eボートとは10人乗りの手漕ぎカヌー型のボート。「E」 は、Emergency(水害や水辺の事故等の緊急時の活用)、Exchange(川やダム湖などの水辺で人々が交流) など様々な意味を持つ。Eボートは見附市や長岡市等で救助艇として導入され実際の水害(平成23年新潟福島集中豪雨、平成27年関東・東北豪雨等)での活用実績のあるものです。このEボートの操船技術を一緒に学び、向上させる実験がEボートレースです。 ポイントは、「防災の堅苦しさ」を感じさせない演出。軽快なマイクパフォーマンスで参加者を鼓舞し、ライバル意識と組織のプライドをぶつけていただきつつ、組織の中の交流、地域の方々同士の交流を促しながら、地域防災力向上を図ります。

簡易桟橋。カヌーやサップなど、水辺のアクティビティに利用することができる。
Eボートレース。

2.海洋プラスチック問題を考えよう!ゴミ取り船「プラボー!」

「プラボー!」は、船の上からプラスチックゴミを拾うことで、プラスチックによる海洋汚染を知り、未来の環境、アップサイクルについて考える取り組み。昨年に引き続き、今年も開催。当日は船に乗って運河へ繰り出し、タモ網を使って浮いているゴミを探して拾い、その後陸に戻り、拾ったゴミを観察しながら、教科書を使って海洋プラスチックについて学びました。

3.汐浜運河には、どんな生き物が棲んでいるのかな? おさかなつり大会と水槽展示

おさかなつり大会は親子で参加して、汐浜運河に生息するさなかを実際に釣ってみる企画。予約開始とともに満席になる、一番人気の実験です。

また汐浜運河に生息する生き物を公園内の特設テント内に設置した水槽展示は環境学習の場として、多くの子供が見学に来てこちらも大盛況です。

おさかな釣り大会の様子。

町内会や企業のチーム対抗「Eボートレース」や親子で楽しむ「おさかな釣り大会」をはじめ、防災や環境をテーマに、地域の課題を一緒に考える取り組みも積極的に行っています。