水辺の社会課題を解決するために生まれたロボットとは

『海床ロボット』は海や運河・河川並びに湖沼など、水面に浮かべた床(3メートル四方)が自動で動き、離着岸する自動運転船です。

その昔、水辺は舟運に使われ、ヒトモノの移動で重要な空間でしたが、現代は、都市過密化や地域の過疎化により課題が山積し、事情が複雑に絡みあう状況です。

そこで、『海床ロボットコンソーシアム』は、海床ロボットが水辺の交通・物流・防災・防犯などの様々な都市問題を解決していく未来仮説を描き、純国産制御システムを開発して、日本中の市町村で実証実験を行っています。

瀬戸内海の海上でアート作品を鑑賞できる海床ロボット。用途によって上屋空間は自由自在に変えられる。(2022年香川県・粟島)

海床ロボットが大阪城のお堀を豊かにする

今回は、<座席型海床ロボット>に乗った乗客へ<店舗型海床ロボット>に乗った店員が飲み物を提供するといったシチュエーションを設定し、2台のロボットの自動航行および着桟時にロボットを非接触充電する仕組みを開発。2022年12月7日(水)、8日(木)に大阪城公園の東外堀にて実証実験を実施しました。

店舗型海床ロボット(左)と座席型海床ロボット(右)がドッキングし、飲み物を受け渡し。

実証実験では、予め設定したルートを自動で航行し、2台が衝突しないよう制御し、スタート地点の桟橋から目的地を往復。さらに航行中、座席型の乗客から呼び出した店舗型に飲み物を注文し、2台の海床ロボットがドッキングし店舗型で作った飲み物を受け渡しました。その後、座席型と店舗型は離れて航行しました。

また、電気で動く海床ロボットの実用化には、簡易で安全な充電方法が求められます。そこで乗降用の桟橋に、非接触充電機能と踏切バーによるロック機構を持たせ、着桟時に海床ロボットに充電する仕組みを実証しました。

非接触充電機能とロック機構を持たせた桟橋。

『海床ロボットコンソーシアム』というものづくり共同体がまちを変える

『海床ロボットコンソーシアム』とは、株式会社竹中工務店、国立大学法人東京海洋大学海洋工学部清水研究室、株式会社IHI、炎重工株式会社、株式会社水辺総研、新木場海床プロジェクト、一般社団法人ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社から成る共同プロジェクトからなる共同プロジェクトです。

複合的要素が必要な「海床ロボット」の実現に向けてひとつの企業や組織では難しい目ことを、各々のノウハウを共有し、協力しあうことで水辺の都市課題解決をスムーズにしています。

2023年以降の実証実験では、「海ゴミ清掃ロボット」「複数ロボットの群管理」「運搬ドローン連動機能」の検証を目指し、運搬・環境・エンターテイメント・防災など用途に合わせた開発に取り組む予定です。