「グリーンインフラ」とは、自然がもつ多面的な機能をまちに活用することで社会課題の解決や価値の創出を図り、持続可能な社会を実現しようとする考えかたです。

竹中工務店まちづくり戦略室が事務局を務める「東陽・新砂地区運河ルネサンス協議会*」は、町会や近隣企業と協力しながら雨水の浸透・貯留や、水際空間の生物多様性の維持向上、コミュニティ形成に資するグリーンインフラの導入に向けた活動をはじめました。

主な舞台は東京メトロ東陽町駅から汐浜運河までを南北に結ぶ道路沿いで、東京都江東区が策定する「みどりの基本計画」では「みどりのみち」に定められた場所です。ここに質の高い緑地を創出し、江東区が掲げるみどりのまちづくり「CITY IN THE GREEN」の実現に寄与します。

※運河ルネサンス協議会
東京の水辺の魅力の向上や観光振興に資するため、運河等の水域利用とその周辺におけるまちづくりが一体となって、地域のにぎわいや魅力等を創出することを目的とした地元が主体となった取組み。

グリーンインフラ・アクション1「いきもの調査」

秋に行われるイベント「水辺の大実験」では、運河でおさかな釣り大会や汐浜運河に棲む生物の水槽展示などから、身近な水辺にどんな生き物が存在しているか、見て学ぶ環境教育プログラムを行っています。

今回は実際にグリーンインフラを導入するにあたって、改めて汐浜運河に生息する生物調査を実施。東京湾の海水と交わる汽水域であるため、マハゼなどハゼ科をはじめ多様な魚が生息しています。また、穏やかな水辺には江東区マスコットのコトミちゃん(カルガモ)など、多種多様な鳥や昆虫を確認することができました。

生物調査で発見したハゼ科の魚。
水辺の生き物を一時的に捕獲する様子。

グリーンインフラ・アクション2「雨庭」

雨庭整備に向け、地区の雨水貯留能力の向上を目指し、雨庭の試験施工を行いました。雨庭はエリアの景観を豊かにするとともに、雨水の流出抑制によって内水氾濫リスクの低減や汚水が河川へ流れ出る水質汚濁の軽減に貢献します。

浸透能調査の様子。

グリーンインフラ・アクション3「汐浜運河エディブルストリート」

汐浜運河沿いに整備されている緑道を「食べられる緑(エディブルストリート)」に変えていくプロジェクト。近隣企業で働く方や地域住民とともに、汐浜テラスに隣接する緑地にはブドウを植え、3年後の収穫を目指します。

成長を心待ちにブドウの苗を植えます。

2024年5月には江東区が定めている同じ「みどりのみち」上にレインガーデン機能を持った「ガーデン広場」がオープンしました。竹中工務店の技術研究所として建設された建物をリニューアルした複合施設「Toyocho green+(東陽町ぐりんたす)」の北側にあり、「みんなのお庭」として苗植えワークショップなどを実施。地域の防災性を高める役割を果たしながら、地域住民が自然を享受する場から「育てる場」としても機能しはじめています。

ポケットパーク「ガーデン広場」。

防災性の強化、生態系の再生など、自然のもつ多面的な機能を都市部に実装し、ひとにもその他の生き物にとっても価値のある良質なグリーンインフラを東陽町エリアで育んでいきます。